特定非営利活動法人まごの手は、道の駅「どまんなか田沼」から吉水駅に向かう途中の閑静な住宅地にあります。
手作りの看板からも、ほんわかとしたあたたかさが伝わってきます。玄関から中に入ると、お母さんたちが台所で食事の準備をしています。隣の居間ではお年寄りと一緒に折り紙を折っている方と小さな子どもをだっこした若いお母さんが話をしていました。その会話を聞いていると、一緒に暮らしている家族のようで、思わず微笑んでしまいます。
●まごの手の誕生~NPO法人へ
代表の小暮悦子さんは、当時、県の職員として、肢体不自由児(者)父母の会に関わっていました。そこで出会った方が、治田さんです。治田さんは岩手県から佐野市へやってきて大工として仕事をしていました。ところが、病気にかかり背骨に打った注射が原因で下半身麻痺になってしまい、車いす生活を余儀なくされました。それでも、治田さんは持ち前の明るさで田植え等の農業体験や傾聴ボランティアなどに積極的に参加していました。
そんな活動をしているうち小暮さんは、「当事者の側にたっていない福祉行政」に疑問を感じ始めました。そして、2001年9月ケアマネージャーの友人と治田さん、小暮さんの3人で「まごの手」を立ち上げました。最初の頃の仕事は草取りや家の片づけでした。それから通院の付き添い、移送サービスをはじめました。
小暮さんにとって本当にありがたかったのは理事長としての心構えやNPO法人の会計等を無償で教えて下さった方がいたことでした。熱い思いだけでは法人運営はできないことを教わりました。
●地域住民の生活援助から居場所づくりへ
人の暮らしは公的援助だけでは十分ではありません。高齢者や障害者や地域の人に対して制度の中ではできない掃除や育児、食事作り等の援助を行っています。迅速で柔軟な対応は、まさにかゆい所に手が届く”まごの手”のように欲しい時に欲しい援助が届くということです。
これからは「地域の居場所づくり」に力を入れ、いろいろな人が気軽に立ち寄れる居場所になれるよう取り組んでいます。そこに行けば自分も何かできることがある。できないことは気兼ねなくお世話になる。そんな「おたがいさまの助け合い」がふれあいハウス「たんとんとん」です。「利用者のニーズを拾い上げ、それをどう事業にしていくかが課題です」という小暮代表の言葉に、地域の人と一緒に歩んでいく、まごの手の未来を想像しました。
団体紹介
特定非営利活動法人まごの手
〒327-0314 栃木県佐野市新吉水町375番地
TEL0283-85-8720 FAX0283-85-8721
URL http://www3.ocn.ne.jp/~mago2010/
E-mail npomagonote@marble.ocn.ne.jp
①地域住民の生活援助
制度外の在宅福祉サービス・・・家事・介護・付き添い
②福祉有償運送
移送サービス・・・通院・外出の送迎
③地域の居場所づくり
ふれあいハウス「たんとんとん」・・・気軽に寄れる居場所
④地域福祉に関する啓発・普及
まごの手の活動を知っていただくための行事・・・コンサートや地域交流会の開催
⑤その他
調査研究 他団体との連携及び交流
「まごの手」の活動を寄付で支援しませんか。
とちコミ運営委員のコメント
取材の日、台所から好いにおいがしてきました。「今日からお昼ごはんも出すことにしたんですよ!」と小暮さん。 利用者のニーズを着実に事業化しているなと思いました。高齢者や障害者、子育て世代の方々が安心して暮らせる社会にしたいという思いがひしひしと伝わってきた取材でした。 帰ろうとすると玄関にコンテナに入ったレタスが山のようにありました。まごの手スタッフが作っている野菜です。みんな笑顔でお昼を食べている様子が目に浮かびました。(中村絹江)