子どもの貧困⑦「洗っちゃうと替えがないよ」・・・靴が1足。洗えず履きつぶす子

認定NPO法人だいじょうぶ:前田利一さん


 私たちだいじょうぶは、家で安心して過ごせない(虐待を受けている)子どもたちの居場所「Your Placeひだまり」、「高徳ひだまり」を運営しています。そこに来る子どもたちの背景は様々ですが、ほとんどが貧困家庭に育ちます。

 ジャージが制服になっている学校で、冬に学校指定のジャージを着ずに、タイツや体操着の半ズボンを着て学校に行く小学1年生の女の子がいました。「ジャージはないの?」と聞くと、「ある」との返事、「寒くないの?なんではかないの?」と聞くと黙ってしまっていました。その後、お母さんから話を聞いたりしてわかったことなのですが、「ある」と返事していたジャージはお兄ちゃんが小学校高学年に着ていたもののおさがりで、長すぎてだぶだぶのものでした。下の子の衣類にまでお金が回らなかったんですね。この子はだぶだぶのジャージをはいて行くのが嫌で半ズボンやタイツをはいていたんです。この子には、寄付金から新品のジャージを購入、プレゼントしました。それからは、毎日ジャージをはいて学校に通うようになりました。

 あと、多くの子にみられるのが、靴が一足しか買ってもらえないため、洗えず、汚いまま履きつぶしていくという状況です。ひどい子は靴底がすり減って丸く穴が開いた靴を履き「雨の日に冷たい!」と訴えていました。いつも汚れた靴を履いていて、靴下をまっ黒にしている子も多く、居場所で洗い方を教えようと声をかけた時に「洗っちゃうと替えがない」と子どもに言われハッとしました。当たり前のことですが、2足靴がないと洗って乾かしてとできないですよね。こんなことがあり、昨年のクリスマスには、やはり寄付金から、子どもたち全員を靴屋に連れていき、1足ずつ好きな靴をプレゼントしました。

 このように、皆さんからの支えがあれば、子どもたちを「当たり前の暮らし」に近づけていくことができるのです。一人でも多くの子どもたちの笑顔のため、子どもたちを支える活動に踏み出す、あなたの一歩(寄付)をお待ちしております。