「コロナ後の社会」NPO緊急アンケート 2/3

①半年後、1年後、にどうなるか(自分たちのNPOが、自分たちの活動・テーマが)

②今、自衛策として、何を、どう対策しているか(スタッフ、対象者の健康等)

③危惧していること。

④「こんなプログラムとお金があればいいのに・・・」 

 

危惧:崩れてゆく「子どもとのつながり」

親が子供を外に出さない。

子どもは「困っている」と言えない。

荻野友香里

キッズハウス・いろどり(一般社団法人栃木県若年者支援機構)

 

①半年後、1年後にどうなるか(自分たちのNPOが、自分たちの活動・テーマが)

 これまでに繋がている子どもや家庭とはコミュニケーションを取りながら変わらず活動を続け、必要な支援も模索できる(休校により崩れていく子どもたちの生活リズムのサポートなど)。

 しかし困っていく子どもたちに対しては活動の種類を広く持ちつつ情報発信を有効的に行わなければ、自団体だけでは新たにつながることが難しい。自粛要請が強くなり、会うことが出来なくなってくるとこれまでの関係も途絶えかねない。

②今、自衛策として、何を、どう対策しているか(スタッフ、対象者の健康等)

―週1いろどり内徹底アルコール消毒

―すべての人に到着時の検温

―加湿器を購入、ほぼ常に換気

―ボランティアのマスク着用のお願い、キッチンへの立ち入り注意

③危惧していること。

―保護者が「危険」「NO」と言えば子どもは出てこれない。食事面で不安がある家庭でも中に入ることはできない。子どもが「困っている」とは言えない、という従来からの問題がより顕著。

―仕事や家族の関係でボランティアに参加できない人がいる。いる人数で対応するしかないが活動を広げられない。(お弁当配達や送迎等)

―仕事が減り、家庭環境が悪化、子どもの貧困が加速する。

④「こんなプログラムとお金があればいいのに・・・

子どもたちの家庭内状況把握と必要な支援機関との適切で迅速な連携

 (4/13)


 できる限りのことをやるのみ

ジョン P(仮名)

英語講師

 

①半年、1年後:授業を欠席したり辞めたりする人はいると思うが、この年度ごとの契約更新時期にも大きな変化はなかったので、ビジネス的には大きな影響はなさそうだ。

②自衛策:本社からのマニュアルが来て対応中。具体的には、空気清浄機を各教室に新しく置き、クラス前とクラス後に手洗いとマスク、換気を行うことの徹底、社会的距を取ること、特に保護者が授業の様子を見るクラスなどは、ガラスから見るようにするなどの授業の対応を実施中。また、社員や先生たちにも飲み会や不要不急な外出の禁止、出張、渡航は避けるように通達がある。

③危惧すること:できる限りのことをしているので、近い人が感染しない限り、あまり心配していない。他のウイルスと同じで致死率が高い、という認識なので、出来る限りのことをやるのみ。

④プログラム:人と出会えない環境が続くと、教育分野ではオンライン授業のニーズや対策はこれから増える。だが、子どもの中には、クラスという雰囲気がないとなかなか学ぶ意欲が上がらない子もいるので、オンライン授業と対面の仕組みの両立が必要になるだろう。(4/14)


ベーシックインカムになっていく・・・

おのなおみ

困り事なんでも電話相談員

 

①半年、1年後:コロナを機に今の資本主義社会の形は成り立たなくなってくると思います。希望的観測かもしれませんが、人々のお金や豊かさに対する価値観が変わり、近い未来にベーシックインカムのような制度に切り替わっていくのではないかな。

 更にグローバル化から進化したローカル化(生き残る上でこっちの方が現実的)になっていくような気がします。

②自衛策:不安や怒りなどに同調せず、自分の免疫力をあげること。

③危惧すること:新しい世界に切り替わるまでの移行期はいろいろとしんどそうだな~

④プログラム:「これからの時代こそ月三万円ビジネスの出番!」

・オタクの域の趣味を極めてビジネスにする。

・人に喜ばれ自分も幸せ。シンプルです。

 こういう生き方を楽しく学んだり実践したりするプログラムがあるといいなと思います。(今回のコロナで収入源が何か所かに分散している家庭は、比較的打撃が少なかったのでは?)

 それともう一つ、お金があるならAIやロボットを導入して、楽しい未来の可能性をみんなで考えてみたいです。辛い仕事はロボットにお願いして、人間にしかできないことや楽しみ時間やを注げるといいな(4/14)


 薬ができるまで繰り返し耐える生活。

閉鎖で、DV、虐待が増える。

荻津 守

栃木県済生会宇都宮病院・MSW、

性暴力被害者支援センター「とちエール」028-678-8200

 

 

①半年後、1年後、にどうなるか(自分たちのNPOが、自分たちの活動・テーマが)

 コロナの終息は1年以上必要かと思います。薬が出来るまでは、断続的外出制限等を繰り返し耐える生活を強いられます。長期戦になるほど国民性が問われますので、世界に誇れる模範的行動が認められるはずです。

②今、自衛策として、何を、どう対策しているか(スタッフ、対象者の健康等)

 病院は医療の最前線を担っていますが、医療崩壊の一歩手前の状況ですので、何とか皆様の御理解と御協力をお願い致します。機能分化を進め、命を守るためにも県民が一体となった取り組みが必要です。外出自粛要請等をきちんと理解し、終息に向けて行動しましょう。

③危惧していること。

 長期の外出制限により大人も子どもストレスを感じています。その中で、長期化する事により、十分な社会保障が受けられない中で、生活困窮や孤立の問題も出てきます。また、閉鎖的になる事によりDVや虐待の問題が増加する事が考えられます。常に弱者が声をあげられるシステムが必要です。性暴力被害者支援センター「とちエール」もインフォメーションして下さい。

④「こんなプログラムとお金があればいいのに・・・」

子どもや弱者がSOSを求められるシステムがあれば??


コロナ終息後に起こる

「都市から農村への移住」をプログラム

団体:NPO法人オオタカ保護基金

回答者:遠藤孝一(代表)

 

①半年後、1年後、にどうなるか(自分たちのNPOが、自分たちの活動・テーマが)

・半年後では、まだコロナ感染は収まっていないと思う。1年後については、ワクチンなどが開発されていれば、収束に向かっていると思う。

・自分たちのNPOの活動テーマについては、「猛禽類をシンボルに、生態系保全や自然と人が共生する社会づくりを目指すこと」で変わらないと思う

・コロナが収まった後には、テレワークの定着、過密からの避難が、田園回帰の動きを促進し、都市から農村・里山地域への移住が増え、それら新住民を交えた新たな地域づくりや里山再生の取組みが始まる。これらの動きに生物多様性の面から貢献したい。

②今、自衛策として、何を、どう対策しているか(スタッフ、対象者の健康等)

・車で移動し、自然の中でほとんど人と会わない少人数での野外調査活動は継続

・少人数での里山管理作業や農作業は継続

・自然体験や農業体験など一般参加者を募集する活動は、野外活動であっても中止

・スタッフ、訪問者については、消毒、マスク着用、社会的距離の確保

・会議などは、必要最小限で少数で実施

②危惧していること。

・直近では医療崩壊。

・新型コロナ感染の長期化による経済の停滞・不況の長期化。

・自分たちのNPOでは、自然体験や農業体験など一般参加者を対象とする活動が長期間開催できないと参加費収入が大幅に減少し、財政状態が悪化する

・寄付などが、今後も集まるか不安

③「こんなプログラムとお金があればいいのに・・・」

・事業収入や寄付収入が大きく落ち込んだ場合の緊急支援金

・コロナ収束後に起こるであろう都市から農村・里山地域への移住、それら新住民を交えた新たな地域づくりや里山再生の取組みを支えるプログラム(4/16)

 

貧困が連鎖し、自分のことで精いっぱい。

感染者や外国人への偏見が生まれる。

 

日下部 実

宇都宮協立診療所 

 

①半年、1年後

コロナ不況が続いたら雇止めや借金で医療費生活費に困った患者さんの相談がさらに増える。フードバンクに紹介する患者さんも増える。「政治に頼らず、支えあいと自衛で乗り切ろう」といった機運が拡がるかもしれません。

②自衛策

法人内で感染予防の学習と実践をしている。集会と外出を控える。換気、イスの間隔と向きの変更、飛沫エチケット、しっかり手洗い、対面を避け電話で対応。問診で行動歴確認、患者さん車で待機。特例融資や支払い猶予の情報を集めて患者さんに共有している。

③危惧すること

 貧困が連鎖して自分のことで精いっぱい。感染者や外国人に対する偏見が生まれる。首都圏から困窮者が流れてくる。雇用問題が深刻になる。コロナ+災害が発生したら生活がどうなるか

④プログラム

集会活動の自粛が続く中で崖っぷちの人に金と物が行きわたる仕組みが必要です。イベントが実施できなくてもサンタdeランのブランドでの活動はできるので、メディアを使った募金や各団体からの広報、フードバンクの食料寄付の呼びかけなど行えればよい、危機感を持って3つの密を実践することも重要ですが、家にずっといる子供が喜ぶようなキャラや企画を考案して喜んでもらえたらいいなと考えます。(4/13)


利用児童の虐待リスク、生活困窮リスクが高まる

NPO法人ビリーブ(子どもの居場所シリウス)

栗本孝雄

 

①半年、1年後:活動内容、テーマは変わらない。

②自衛策:感染予防対策の徹底。厚労省と県の広報に従った内容。業務外の外出や人との接触を控える。

③危惧すること:濃厚接触者で自宅待機になると、実質的に運営が止まってしまう。利用児童らの虐待リスク、世帯の生活困窮リスクの高まりが懸念されます。

④プログラム:子どもたちが室内で過ごすための興味あるプログラム、学習教材、それらを使う通信環境が欲しいです。ゲームや娯楽のみ映像「でない」ものを提供したいです。(4/14)


 休止。家賃負担増。再開???

 

陣内雄次(宇都宮大学・教育学部教授)

「ソノツギ」

①半年、1年後:大学近くで運営しているコミュニティカフェ「ソノツギ」は、ほぼ休止状態。月一回学生が中心になって開設していたこども食堂と駄菓子屋も休止。

②自衛策:学生には使用中止をこちらからお願い。社会人の利用者も自主的に休止。

③危惧すること:感染の不安があることから、少なくとも学生の使用は当面中止にせざるを得ない。社会人も再開できるかどうか見通したたない。(ということは、私の毎月の負担金が増えるということになり、かなりキツイ)

④プログラム:ソノツギについては特にありません。厳しい状況にある個人や団体へのスピーディな支援が望まれます。ドイツ・ベルリンのような。(4/14)


危惧:暇、孤独、不安など

「悪感情が世の中を覆っている現状」が、

薬物乱用だけでなく他害なども生む。

栃原晋太郎

特定非営利活動法人栃木DARC

 

①半年後、1年後、にどうなるか(自分たちのNPOが、自分たちの活動・テーマが)

 現状でも講演や対象者向けグループワーク、家族プログラムなど法人事業の9割がコロナの影響で中止となっています。当然同時に依存症者やその家族は相談の機会を奪われ繋がりをなくし孤立化が進んでいます。NPOとして活動資金を確保するために他県のダルクなど今までに対象としてこなかった団体に対してプログラムを提供することにはなると思います。ただ基本的なスタンスは変えずに、依存症者とその家族に対する回復プログラムの提供や社会に対する啓発を無償で行っていきます。

②今、自衛策として、何を、どう対策しているか(スタッフ、対象者の健康等)

 女性メンバーが作成してくれた布マスクを1人3枚持っていて外出時には必ず付けて行きます。また外出は全て自動車なので、消毒液を持参して外出先から車に乗り込む際に使用しています。帰宅時のうがい手洗いの徹底など、糖尿病などの基礎疾患を抱えているメンバーが多いので気をつけています。またスタッフも含め精神的なストレスに弱く、絶望感から薬物の再使用に陥る可能性は高いので、仲間と共に楽しめるもの、そして出来るだけ屋外で楽しめる事を行っています。(釣り・散歩・ソフトボール・山菜摘みなど)

③危惧していること

 公的な機関も相談窓口を閉鎖・縮小している中で、依存症当事者やその家族は誰とも繋がれずに孤立を深める可能性が高く、また暇や孤独、不安など薬物乱用を加速させる感情が世の中を覆っている現状は病の悪化にとどまらず他害など2次的な問題を引き起こす可能性が高まっていると思うので、Zoomの活用や個別訪問相談などを積極的に取り入れていこうと考えています。

④こんなプログラムとお金があればいいのに・・・

 NA会場が全て使えなくなっていて、依存症者の回復の生命線とも言える回復の分かち合いや相談、回復モデルとの交流などが全てなくなっている現状を変えていくには、屋外でのオープンスピーカーズミーティングやZoomなどでのNAを開催していく必要があります。現状でも各地で動きが出ているので、それらを管理する人件費が出してもらえたらと思います。また病院や刑務所へのメッセージ活動も止まっているので、チャット形式の相談コーナーの設置やNAやダルクの書籍を配る活動をして行きたいと考えています。


密室の中でDV、虐待の「被害₋加害者」が緊張感を高まらせている

MHさん

県内女性支援団体(代表)

 

① 半年後、一年後:外出ができない環境下で、DVや虐待の加害者と被害者が家庭という密室の中で緊張感を高まらせていると想像しています。

 コロナ感染拡大はどこまで広がるのか、予想ができません。多くの人が職を失うことになるでしょう。経済的に破綻する家庭が急増し、もはや生活保護等でカバーできるレベルではなくなるでしょう。社会の格差は広がり、怒りが蓄積され、やがて爆発するのではないでしょうか。

 強いものから弱い者への暴力が、深刻な事件や事故という形で顕在化することを危惧しています。また、ストレスで精神的に追い詰められる被害者も増えるでしょう。

団体の活動内容やテーマは変わりません。SOSを受け止め、女性たちの自立支援ができるような支援体制を調えていきたいと願っています。

②自衛策:活動面では講座等の開催は中止し、相談の場は風通し良くして消毒を徹底しています。

・手洗い・消毒・マスクの着用を義務付け、注意喚起し合っています。

・これまで行っていなかったZoomやSkypeによるテレビ会議をするようになりました。弁護士相談や関係団体の会議など、テレビ会議により、移動時間や費用がかからないことに加え、安全という利点があることに気づきました。

③危惧すること:「いつかは加害者の暴力から逃れ、子どもを連れて自立を」と願っていた当事者が、社会的・経済的な不安から、加害者のもとに留まるという選択肢を取らざるを得なくなるのではと危惧しています。

・運営面では、今後、個人にも企業にも、「NPOを支援する」というゆとりがなくなってゆくのではと心配です。

④ こんなプログラムがあれば:プログラムとは違いますが、今回こうして他団体の状況を知ったことで、緊張感や使命感を覚えるとともに、力づけられました。日々業務をこなすことで精いっぱいですが、こうした他団体との交流の機会は貴重だと感じました。(4/15)